舞台『南部高速道路』

久々の平日完全休みで、舞台を観に行ってきました。これまた久しぶりの三軒茶屋・シアタートラムです。


3〜4月に観に行った『ガラスの動物園』の演出がとても良かったので、長塚圭史さん構成・演出に惹かれチケットを取った公演です。


シアタートラムは小さな劇場ですが、今回の舞台は中央の舞台を四方から取り囲む形で設定(東西南北)され、舞台と言ってもなんの装置もない真っ黒な床だけがある感じです。



演出はやっぱり素敵でした。舞台装置が全くなく、役者さん達の動きで場面をかえ、傘を車と見立てることで渋滞の様子がイメージしやすく、いつしか本物の車にさえ感じてしまいました。


原因不明の渋滞、水や食糧がなくなり協力、助け合う中でいつしか共同体のようになっていく人々。いつまでも終わらない渋滞、非日常的な生活で幻想的な生活が続く。そして、季節が移ろい、いつしか現実世界へ引き戻されるかのように車は動き出し、もとの生活に戻る人々、思いを断ち切れず戸惑う人。上手く言葉にできませんが最後はなんだか切ない思いが残りました。



今回はまたまた最前列のセンターブロック(南A列12番)で観劇。役者さん達がかなりの至近距離まできて演技されるのでドキドキしてしまいました。真木よう子さんは顔がちっちゃくて、テレビのパワフルな演技の印象から想像していたよりも小柄な方でびっくり。でもスレンダーで素敵でした。個人的に気になった方は安藤聖さん。私はお初の方ですが笑顔が素敵なかわいらしい方でした。他の俳優さん達もそれぞれ味があってとても良かったです。


やっぱり生身の人間が作り出すもの、雰囲気、空気感、その時々感じる思いや感動は役者さん達の力強い演技から思いを直接感じるからこそ心に響くのだと思います。これぞ舞台の醍醐味ですね。


とても素敵な舞台でした。


☆作品紹介

〈ストーリー〉
週末、帰宅途上の高速道路。明日からは、いつもの日常に戻る…はずだった。

ところが、突如、渋滞に巻き込まれてしまう人々。この渋滞、いつまで続くのか。それぞれの日常から切り離された人々は…。

ラテンアメリカの作家フリオ・コルタサルの『南部高速道路』に想を得て、長塚圭史がわたしたちの物語を紡ぎ出す。


●原作:フリオ・コルタサル

●構成 演出:長塚圭史

●出演:(五十音順)
安藤聖、植野葉子、梅沢昌代、江口のりこ黒沢あすか真木よう子赤堀雅秋梶原善、加藤啓、小林勝也菅原永二、ジョンミン、横田栄司、少女役(ダブルキャスト)酒井美夢 瀧澤采愛


●公演日程:2012年6月4日(月)〜24日(日)


●会場:シアタートラム

※13時30分開場、14時開演の昼の部で観てきました。

帰りは西から台風が近づいており雨模様。劇場もちょっと肌寒かったけど表も涼しい。自宅近くの駅に着いた頃にはかなりの強い雨になっていました。最近、舞台観に行く時はなんだか天気が崩れやすいです。