映画『はじまりのみち』

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今日1本目の映画です。木下惠介監督の第二次世界大戦中の実話を題材に、映画『陸軍』制作時の背景を交えながら彼の母との家族愛を描いた作品です(Wikipediaより)。


これぞ日本映画です。日本人らしい心の動き、相手を思いやる気持ちが丁寧に描かれています。そして、木下監督自身の映画に対する強い思いを加瀬亮さんが見事に演じきっていました。さらに、ほとんどセリフのない母親役の田中裕子さんの演技は秀逸です。ユースケさんも真面目な役もしっかりこなせるんですね。木下監督の兄役、最後の方で見せた彼の笑顔は、お兄ちゃんの思いが詰まった素敵な笑顔でした。


監督はアニメーションを撮っていた方ですが、木下監督が撮った実際の映画の映像を取り入れたり、全体的に丁寧な構成で、実に素晴らしい作品に出来上がっていたと思います。


戦時中のお話なのに、昭和っぽい映画くささがなく、木下監督の作品の映像も新鮮に感じました。これは原恵一監督の力量でしょうか。


後半は何度も涙腺が緩みました。淡々と静かな作品ですが、心に響くとても素晴らしい作品でした。



《作品情報》
あらすじ

戦時中、監督作『陸軍』が戦意高揚映画でないと軍部からマークされてしまった木下恵介加瀬亮)は、次回作の製作が中止となってしまう。そんな状況にうんざりした彼は松竹に辞表を出し、脳溢血で倒れた母たま(田中裕子)が治療を行っている浜松へと向かう。戦況はますます悪化し山間地へと疎開すると決めた恵介は、体の不自由な母をリヤカーに乗せ17時間に及ぶ山越えをする。


監督・脚本: 原恵一

キャスト
加瀬亮/田中裕子/ユースケ・サンタマリア/濱田岳/斉木しげる/光石研/濱田マリ/山下リオ/藤村聖子/松岡茉優/相楽樹/宮崎あおい/大杉漣


公開: 2013年6月1日

上映時間: 96分

この作品は朝一番の回しかなかったのですが、お客さんが6人ぐらいしかいなくて(しかも9割は女性です)、ゆったりゆっくりできました。ひとが少ないと心置きなく泣けます。みんなこの映画を観ようと思ってきているので、観るのも真剣です。映画を久々に静かに堪能できました。

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