映画『キツツキと雨』

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14日に、立川のシネマシティで観てきました。映画『キツツキと雨』。


とても良い作品でした。初めはお話になかなか引き込まれませんでしたが、気弱でなかなか自分を出せない若い監督と木こりとの交流で、段々と二人が変わっていくに従い映画に引き込まれていきました。新人で決断もできずおどおどしながら撮影に望んでいた青年が木こりとふれあうことで段々と楽しそうでいきいきとした表情に変わっていきます。木こりもまた青年に出会ったことで、自分の息子に伝えられない思いを青年に向けて話し変わっていくのです。いつの間にか木こりは撮影にもスタッフとして参加し、村人をも巻き込んで村全体が、そしてみんなバラバラだったスタッフが一体感を醸し出していきます。


小栗旬さんの繊細な演技がまた素晴らしく、役所さんはさすがという感じでした。とぼけた感じの演技も良かったです。

そして最後のクランクアップの雨のシーンがなんとも言えずこの映画の全てを象徴しているように感じました。じわっと感動させられた作品でした。

〈作品紹介〉

あらすじ

人里はなれた山間の村、岸克彦(役所広司)は、早朝から仲間と山林に入り、木々を伐採して生計を立てる木こりのひとりだ。妻に先立たれ、いまはひとり息子の浩一(高良健吾)とふたり暮らし。しかし、定職につかずふらふらしている浩一に、克彦は憤りを覚えている。妻の三回忌はもうすぐ。


ある朝、田舎道をゆく克彦は、車が溝にはまって立ち往生するふたりを発見する。彼らは映画の撮影隊としてやって来た、田辺幸一(小栗旬)と鳥居(古舘寛治)だった。なりゆきでふたりを撮影現場まで案内することになった克彦は、そのまま現場に参加しゾンビのメイクでエキストラ出演をするはめになる。木こりの仲間たちから出演をネタにされ、まんざらでもない克彦。撮影途中の映像を観るラッシュ試写に呼ばれた彼は、小さく映る自分のゾンビ姿に、思わず苦笑いする。かたわらでは幸一が、自分の腕を噛みながら、苦々しい表情でスクリーンを見つめていた。


現場では、大勢のスタッフやキャストから質問攻めにあい、頭が混乱して昏倒してしまう幸一。そこへたまたまやって来た克彦。「幸一くんはいくつなの?」と克彦は弁当を食べながら幸一に話しかける。「25ですけど・・・」と答える幸一に、克彦は山に生い茂る松の木を指差す。「あそこに松が生えているだろう。あの木が一人前になるのに、ざっと100年はかかるよ」。

ある日、 共同の露天風呂から上がり、一緒にそばをすすっている克彦と幸一。幸一は、父親が買ってきたビデオカメラをきっかけに、映画を撮りはじめるようになったと克彦に話す。でも、実家の旅館をつがなかったことで、父親は後悔しているだろうとぼやく幸一に、克彦はあんみつをつつきながら、「後悔なんかしてねえよ。自分の買ってきたカメラが息子の人生を変えたんだ。嬉しくてしょうがねえだろうよ」と幸一を諭す。


やがて克彦は積極的に撮影を手伝うようになり、撮影隊と村人たちとの間に、少しずつ一体感が生まれていくなか、撮影はいよいよ佳境を迎える。


キャスト

役所広司
小栗旬
高良健吾
臼田あさ美
古舘寛治
嶋田久作
平田満
伊武雅刀
山崎努


監督: 沖田修一

上映時間:129分

公開: 2012年2月11日



人の心の動きや思いを繊細に表現した日本らしい作品でした。心があったまり、帰りになんだかじわじわとまた感動が思い起こされ、もう一度スクリーンで見たくなってしまいました。

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