アスリートの引き際

昨日15日、マラソンの野口みずき選手(37歳)が現役を引退されました。

アテネオリンピックの金メダル、05年に2時間19分12秒を叩き出したベルリンマラソン(いまだにこの記録は破られていません)、同じくオリンピック金メダリストのQちゃんとまたひと味違う、小さい身体であの骨太な力強い走りはいまだに私の記憶に鮮明に残っています。

そんな誰もが知る華々しい一面とは裏腹に、競技人生後半は怪我や走りのバランスの悪さなどに苦しめられてきたとのこと。トップアスリートであるがゆえに、思うように走れないことは私たちには想像もできないぐらい苦しく厳しい道を歩んできたことと思います。

最後のフルのレースになった先月の名古屋ウィメンズマラソン、実は私不覚にも見ていませんでした。でも、その後の野口選手の会見で泣いてしまいました。やりきったようなあの清々しい表情に、本当にお疲れ様でしたという気持ちでいっぱいです。市民ランナーの私にはずっとずっとレジェンドです。


そして、もうお一方、プロ野球埼玉西武ライオンズ西口文也選手(43歳)。4月7日にテレビ朝日で放映された『ゴン中山&ザキヤマ キリトルTV』で西口選手の最後の試合が取り上げられていました。図らずも西口選手の最後の試合は2軍。でも21年間の先発投手にこだわってきた男気ある生きざまが凝縮されたような試合だったと感じました。

西口選手の私の印象は、ひょうひょうとしているのにピシャリと押さえる凄い投手。ノーヒットノーランが何回か出来なかったことも記憶に残っています。ひょうひょうと見えていた、その裏では先発への思いを貫いてきたぶれない軸と気持ちの強さを持つ人であることを今回の番組で知ることができました。後輩たちが最後の先発を見に来る、投げている姿を見ているだけで良かったと言わせるほどの選手であり、本当に偉大な選手です。21年間という長い間、本当にお疲れ様でした。

スポーツ選手たちは、みな競技人生の終わりを自分で決断しなければいけません。動ける限り現役を続ける選手、プロとしてのパフォーマンスが出来なくなったと判断し終わりを決断する選手、怪我で一線を退く選手、その他いろいろ。でも、一流と言われる選手たちは、競技に打ち込むその一時一時、一瞬一瞬を精一杯生きてきたのでしょうね。だから観ている人々の心を打つのだと思います。本当に天才と言われる人々はほんの一握り。しかも長く競技を続けるためには才能だけでは無理でしょう。どれだけの努力と汗と涙を流してきたことか私たちには想像できません。


この1年間だけでも、先日の水泳の北島康介選手や多くのトップアスリートたちが競技人生に終わりを告げました。私たちにたくさんの一流のパフォーマンスを見せてくれて、感動を与えてくれて、勇気を与えてくれて、ありがとうございました。

野口みずき選手、西口文也選手、たくさんの引退されたアスリートのみなさんが、これからの人生でも輝いて生きていけることを心から願っています。