いよいよレース後半戦です。
もう本当に脚がしんどくて、中間地点をなんとか通過できましたが、そこから先は、『もうリタイアしてもいいから、あと1kmだけ頑張ろう』と目先の距離を目標に前に進みました。
ちなみに、このコース、今年から大幅に変更になり、意外と橋が多くてそのたびに細かくアップダウンします。すでに太ももが張っていて限界に近づいている脚には、このアップダウンがものすごく堪えるのです。
さらに東部復興道路以外は、頻繁に曲がるコースも走りにくい。
脚がしんど過ぎて、ちょっとしたことでもキツく感じました。
そして、ものすごく1kmが長い。どんどん脚は重くなり、太ももはパンパン状態。それでも、なんとか耐えて30kmまで到達。
重たい脚を1歩1歩前に進め、32km越えたところで、『あと残り10kmを切った』と思った途端、少し気持ちと脚が楽になりました。ただ、それも長くは続きませんでした。
そんな中、個人的に一番楽しい区間だったのが35〜36km付近の仙台国際空港付近の折り返しコース。
コースの真上間近を滑走路へ入る直前の航空機が通過する、これが圧巻で思わず見とれてしまいました。
この先折り返すコースだったので、航空機を間近に2回も見ることができました。この航空ショーの時だけ、脚のしんどさを忘れることができました。
空港エリアを越えると、ここから先は、脚がさらに動かなくなってきました。明らかなペースダウンです。それに呼応するかのように、ピクピクと太ももが攣りそうな嫌な感覚が出てきて、何度も立ち止まってはしゃがみ込むの繰り返し。
ペースもテンションも上がらぬままトコトコゆっくりペースで38km付近へ。ここで、たまたま見たタイム表示板で現時刻を知ってしまいました。
そして思ってしまったんです。『1km5分前半ぐらいで行けば4時間切れるかもしれない』と。
わずかに残っていた私の闘争心に小さな火がつきました。
『4時間切れるかも』そう思ったら、身体が勝手に動いていました。でも脚は思うようには動きません、強引に力で脚を動かしますが全然前には進まない。
もう表情はクシャクシャ、声が出るほど呼吸もしんどい。脚が動かないから呼吸が苦しくなる。半分泣きながら、もう気合と根性で走っていました。
残り4kmです。いつもスパートする距離よりはるかに長い。途中、右の太ももがピクつきましたが、もう止まっている時間なんてない!行けるところまで行くしかない!
本当に苦しくて、でも止められなくて。
もちろん、エイドでの給水はすべてスルー。そんな中、39.3km地点、41.0km地点のエイドで多くのボランティアの若者たちから本気の熱い熱い応援をもらい、めちゃくちゃ感動しました。返せなかったけれども、みんなの声、ちゃんと聞こえていましたよ。しっかりパワーをもらいました。本当にありがとう。
我慢して我慢して走り続け、ようやくフィニッシュ地点が近づいてきたのか沿道の応援が増えてきました。そして、コース最後の右折。やっとフィニッシュゲートが見えましたが、まだゲートまでは少し遠い。まだ終わらない、本当に苦しい。
フィニッシュゲートにあるゴールタイムの表示板が4時間1分を表示しているのが見えました。でも、残り4kmからの超ロングスパート。最後までペースダウンせず諦めなかった、今出せる自分の力を出し切りました。だから、4時間切れなかったけれども悔しくはありませんでした。今思い返しても、我ながら本当によく頑張ったと思います。
レース後、ボロボロの身体で着替えるため更衣室に向かうと若い女性スタッフさんが優しく声をかけてくれトイレも丁寧に案内してくれました。その優しさが身に沁みました。本当にありがとうございました。
身体が思うように動かず身支度に結構手こずりました。そして、帰りは同時開催している『復興マルシェ』に立ち寄り、名取市のせり鍋をいただいて身体を温め一息つけました。
フルマラソンで今回ほどの厳しいレースは初めてです。フルマラソンを楽しめなかった、本当に苦しいレースでした。
コース全体図
コースの約4分の3が東日本大震災の津波の浸水域です。コース沿いには震災遺構や慰霊碑、震災後に新たにできた商業施設などが点在。途中、かさ上げ道路(東部復興道路)を走っていただく場所もあります。走りながら復興の軌跡を感じられるコースです。
大会公式ホームページより〉
コース前半で撮影。こんな感じでちょこちょこアップダウンがあります。
20km〜30kmの間だったと思います。ヘトヘトながら、思わず立ち止まり撮影していました。この絵の手前はコースです。運良くランナーが走っていない瞬間を撮れました。
遠くに仙台国際空港
この区間が一番楽しかったですね。
上の写真を撮影した場所からコースを振り返った様子。この真上を飛行機が通過していきます。
空港を撮影した場所から先のコース。
走り終わり着替えてから撮影したフィニッシュゲート付近の様子。
若いボランティアスタッフさんがたくさん活躍されていました。温かい言葉や声援、丁寧な対応にたくさん力をもらい、元気をもらいました。本当にありがとうございました。
フィニッシャータオル。
厚めでしっかりしたタオルです。
完走メダルです。
被災地の素地を使って、被災地域の人たちが作っているそうで、それだけでも重みを感じます。
雄勝石メダル
東京駅の屋根瓦にも使われている雄勝石が産出される石巻市雄勝地区。
地域を代表する産業であった雄勝硯の加工場も津波で壊滅的な被害を受け、住民数は震災前の4分の1まで激減しました。そんな雄勝地域の経済復興の一助になればと、初回大会からフルマラソンの完走メダルとして雄勝石を採用しています。
大会公式ホームページより〉
最後に
大会に関わった多くの皆様、とくにボランティアスタッフの皆様には本当に助けられました。
地元の方々のたくさんの声援、エイドステーションでの『来てくれてありがとう』という温かい言葉、帰り際に年配の男性スタッフさんから『また来年も来てね』と声をかけられたこと、年配の方から若い方までたくさんのスタッフさんたち、地元の方々に支えられ、この地を走れたことに感謝しかありません。
次は終始楽しく、そして笑顔で声援にも返せるぐらいしっかり力をつけて、いつかまたチャレンジしたいです。